僕は常々、自動車作りは文化だと公言しています。例えば鉄です。鉄は自動車作りには欠かせない素材なのは誰でもわかります。ところが一口に鋼鉄と言っても実は新素材の一種でありまして、ちょっと古いですが、エクセライト鋼板とか、新デュラスチールなどさまざまな元素が交じり合って構成されています。それは粘り強くしたり、引っ張り強度を極端にあげたりさまざまなんですね
自動車はその国を代表する産業なわけです。アメリカ=クライスラー、GM、フォードなど。ドイツ=メルセデス、BMW、フォルクスワーゲングループ。日本=トヨタ、日産、ホンダなど...
それらの自動車はすべて独特の特徴があります。みなさんも運転したり触ったりした事があるでしょうから簡単に思い描けるでしょう
ですが、自動車を作るとなると話は別です。輸入車は、最近はグローバル化が図られてあまり感じなくなりましたが、ほんの少し前までは部品メーカーは自動車メーカーの枠を超えて部品を共有していたのを思いだします。
あくまで、僕の主観ですが、日本のクルマは常に専用に企画された部品の集合体で、エンジンの補機類、ボディエレクトロニクス、トランスミッションなどすべてにクルマありきで新たに作られたもので、いわゆる専用部品です。
外装部品はデザインの関係上専用化する場合がほとんどですが、それでもロータスなどはトヨタのテールレンズを使ったりしています
ところが、欧州車は自動車の内容が決まったら、じゃらーっとさまざまな出来上がった部品を広げて、これとあれとその中から使える物を選んで使っているイメージがあります。つまりクルマはあるものの、部品ありきで構成されているような感覚です。
かつて、小田原に自動車の博物館があった時代、正確には松田コレクションがあった時代、フェラーリ美術館なるものがありました。そこにF40LM(あくまで記憶の範囲なので、確証はありませんが)があり、エンジンフードが開いていて、エンジンが見れた覚えがありまして、そこを覗き込んだ時にこんなロゴを見つけました。
当時、W126のメルセデスのラジエターなどには絶大なシェアを誇るBEHRでした。
もちろんここではF40専用のインタークーラーですが、整備士として若い時代の僕には普段見慣れたロゴが、当時1億円をはるかに超えたクルマの部品で見るとは思いませんでした。
それから、BEHRをはじめBosch、Siemens、 Fiamm、Weber、などなどなんとなく探すようになってしまいました。
ところでヤナセが売っているタイヤのContinetalもOEMサプライヤーの一つで、よく輸入車のファンベルトでお目にかかります。
そのコンチのベルトはなーんかひびひびになりやすいように思います。アルファロメオのV6のベルトは、6PK1990と言うサイズで、ベルトの幅や作りは6PKで、長さが1990ミリと言う内容です。
部品商に、コンチは長持ちしないので国産で設定はありませんかと聞くと、「在庫はありませんが設定はありますよ」との事。
おー、良かったと思ったのもつかの間
手元に来たのは6PKの1190....
さらに1990設定はないとの事.... あぁ....
BMWのサスペンションを分解したときにショックアブソーバーに、当時日本で新進気鋭のBogeのロゴを見たときに驚いたような事を思い出します
OEMサプライヤが他の車種で、同じ部品を融通することは当たり前で、違う自動車メーカーで、同じ部品を使うことはよくあることです。今回のフェラーリもご覧の通り
取り外してみると
表側(裏なのかなあ)にはビルシュタインの文字
反対側には跳ね馬のマークが...
それゆえ、海外ではOEMメーカーをはじめ、社外部品のオンパレードでさまざま部品が存在します。
ちなみに当時、日本の自動車メーカーは、自社の部品に登録商標を特許庁に申請するのに熱心で、そんな部品は社外でコピーせんだろと、思う部品にまで商標を持たせるべく、熱心に登録を行っていたとどこかのメディアが報じていたのを思い出します。
もっとマヌケなのが、今や中国が違法な模造品を作りまくっている所ですね。知的財産の上を行く厚かましい団体が現れるとは、当時の人たちは予見できなかったでしょうねえ