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2016年9月 8日 (木)

昔のハナシ

来る日も来る日もいろいろなクルマの作業をしているわけですが、中にはなかなか作業が進まないクルマや、塗装を終えて早く作業を進めなければいけないクルマなどが、工場の中で交錯します。

今日は件のレンジローバーを塗装したり・・・
昔は、シルバーをうまくぼかすのもヘタでしたねえ

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どこから見てもイイ感じ。まあ、ガンも材料もよくなりましたしね。

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クリアーはエクスプレスプレミアムクリアーを使います。

下世話な話しですがこのクリアー、結構な値段です。高級車や輸入車にはちょうどいいですね。
でも、下地からトップコートまで何でもスタンドックスを使う工場は少ないです。

そもそもが高いですから、今日のような不況な業界では、あまり塗装原価を上げるような材料は敬遠される傾向が強いです。

意外に知られていませんが、この手の材料を使うとマスキング材や関連材料、副資材と言われますが、その副資材も割りと高価なものを必要とされます。

結局、安い安いというわけに行かなくなるのです。
安い材料はやはり、それなりのパフォーマンスしかしてくれません。
例えば、マスキング材なら染み込んだり、車体にくっついたり、最初から穴が開いていたり

マスキングテープなら糊が強すぎたり、弱すぎたり

絶妙なところはやはりそれなりの材料を使ったりしないと、良い仕上がりを担保で来ません。当然吟味して各材料を使っています。

でも・・・ 実は昔、安い安い材料を使ってトラブルを出したことがあるんです。

もう開業からそれほど時間の経っていない頃ですから、19年くらい前、時効だから書きますが、こんな事がありました。

紹介で、あるクルマの全塗装を引き受けたことがありまして、それを35万円で作業して欲しいと、ハナシを伺うと、それなりに大きいSUVの黒の同色、劣化による全塗装で、35万円は当時でも破格の安さです。

でもディーラーの見積りがそれぐらいだから同じ値段で塗装して欲しいと、紹介での入庫だったこともあり、仕事も当時少なかったですから、ありがたく引き受けました。

当時この手の話しは結構あって、新規でできたボディショップは販売店やディーラーの営業の為に不条理なまでに安い金額で作業することが多々あって、業者の仕事を思えば、今回のもそれほど抵抗なく引き受けました。

引き取り当日、伺うとどちらが間違えたのか今もナゾですが、予定していた日より1日早く引き取りに伺ってしまったようです。

でも快く自動車を預けていただき、工場に乗って帰りました。

翌日から作業を開始しますと、それなりに大型のSUVですから取り外す部品が一杯あります。分解もひと段落したある日、部品の手配などで車検証入れを取り出し、開いてみると、1枚のメモが落っこちてきました。

そこには
○×ディーラーで全塗装すると50万円
部品を外して全塗装すると75万円以上
と書かれていました。
さらには見積り書まで・・・

そこからしばらくの間、記憶にないほど怒ったような・・・

そうか、そうくるならこちらも一番安いものを提供しようという結論に達しました。

パテは、当時の塗料販売店にある一番安いもの
サフェーサー? プラモデルに使うような1液のラッカーサフェーサー
さらに、研ぎは適当に、片手をポケットにつっこんで、もう片方の手で数十回往復する程度
塗装だけスタンドックスを使うと言うインチキも甚だしいものになりました。

出来上がりは、素人目に見てもひどいものでした。
塗りはあまく、肌はめちゃくちゃ。黒いボディなのに映り込みはほとんど無く、やらないほうがマシなレベルです。

それでもどうにかカタチにして納車に向かいました。もちろんそのメモは見たことなどは話さず、「支払われる値段に対してできた作業です」とハッキリ言ったのをなんとなく覚えています。
納車の帰り道、本当に泣いたのを思い出します。
それからしばらくはひたすら「安い安い」に徹しました。まるで自分に言い訳するかのようです。
それから数週間のうちにクレームの連絡が来ました。
正直悩みました。クレームをつけるなら、まず金額面での話しをするべきではないのか?と

そんな折、助け舟を出してくれたのが、他でもないスタンドックスでした。当時スタンドックスにいた「伝道師」さんが、技術者を派遣するので、その修理を通して参考にして欲しいと・・・
これが今日のMPIを位置づけるきっかけになりました。

救世主の工場に救世主がやってきました。
メーカーから派遣された技術者の方は圧倒的でしたが、なにより感銘を受けたのはその考え方でした。

曰く、受けた以上はベストを尽くす、ベストを尽くせない金額なら最初から受けないか、全額タダでやる。中途半端な仕事は請けない。

副資材の単価や必要量を惜しまない。仕上がりを最優先するには低レベルの節約をせず、良いものを多く使う

仕事はどんなクルマでも必ず80%以上の仕上がりを目指す。
当然、100%の仕事はなかなか実現できませんが、常に100%をめざして作業して80%以上の出来を実現する。そうすればフェラーリやロールスのような超高級車が来ても、動じる事無く仕事をいつもどおりできるようになると。

この考え方を教えてもらった時には文字通り目からウロコが落ちました。

以来、ウチではカローラでも軽バンでもメルセデスと同じ作業方法で仕事をするようになりました。
やがて、実際にフェラーリやベントレー、メルセデスなど輸入車を多く扱うようになりましたが、当時と今も根本的な方法は変わりません。

今年の11月で丸20年を迎えますが、お世話になった方々にはお礼の言葉もありません。ありませんから言いませんが とは言いませんよ。

20年の間には紆余曲折はありましたが、今日仕事が出来ていることに感謝しなければいけませんね!

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コメント

その話、今でもよく覚えています。傍らでその話を持ち込んだ当時トーシロのオヤジ、その会社の他部署でその仕事を依頼した奴、その黒のSUVも見ていますので、それって当時スタンドックスの親会社の化学品会社のバカな奴らですね。(そう書いている自分もその会社の元社員ですが、)。本件では、MPI は被害者だったのです。でも、当時からMPI の スタンドックスに対するポリシーははっきりとしていたので、伝道師さん、当時は優秀な彼だけでしたが、スタンドックスの社内では、MPI への1週間にわたる技術供与へ行ってもらう事が優先されたので、(その後も他の機会に1~2回あったと思いますが)、車にトーシロのオヤジとその会社の他部署でその仕事を依頼した奴らはとんでもないですが、結果としてスタンドックスが本格的に日本上陸を果たした後に当初より真剣に・真面目にスタンドックスに取り組んできたMPI は今や草分けなんです。厳しい業界だと存じあげておりますが、軽自動車からフェラーリ、ロールスまでスタンドックスでこなすっていう工場が果たして国内にどれだけいるでしょう。ありきたりのことしか言えませんが、引き続き頑張ってください。いつも応援しています。

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