どこかで誰かが
僕の所にあつまるイタフラ車も軽く車暦が10年を越えるクルマが多いです。
僕のアルファロメオは2000年の166です、カッパも同じ2000年。
既に今年で16年。どこもかしこも自動車になってから16年。
そりゃ、痛むわけですよ
エンジンなんて何億回転廻っていることやら。
それを支える軸受け、バルブシート、ステムシール、ピストンリング、クランクシール
そりゃ、みんなある程度は痛みますよ。
特にオイル管理が悪かったり、整備を怠ったりした車両は様々なトラブルを抱えます。
ブローバイが多く出てスロットルボディが汚れたり、ピストントップにスラッジが発生して、燃焼状態が悪くなったりします。一度、スラッジが多く着くとさらに燃焼室内での燃焼伝播が悪くなり、さらなるブローバイを発生させ、調子を悪くさせます。
ウオーターポンプやタイミングベルトなどは比較的、交換されやすいですが、バルブステムシールやバルブシート、ピストンリング、シリンダライナーなどは今の時代ほとんど交換することはありません。その為限られた条件の中で、自動車を長生きさせなければならないのですね
でもどうしても後世に残して行きたい物もあるのです。
さて大げさな書き出しになってしまいましたが、昨年販売した166の6速マニュアルのスーパー。
オーダーの際に一緒に整備するのはタイミングベルト、エアコン、クラッチ、足回りと一大整備です。
昨年末までE君があまりに忙しくなってしまい、時間がかかりましたが、遅ればせながら12月から整備が始まりました
見ていくと、想像より整備箇所が多いのは想定外でした。
社外フロントパイプです。社外はアーキュレイくらいしか出していないので、おそらくはそこのものでしょう
ところがメッシュの部分が見ての通り、むちゃくちゃな事になっています。
当然、排気が漏れまくりで、交換なり修理が必要です
この部分はエンジンがクランクの回転方向やクラッチの繋がった際の負荷でエンジンが動く時に、吸収する役割があるので、ストレスがかかりやすい部分です。
ドライブシャフトブーツも破れていました。
エキゾースト系は高温に晒され比較的錆びやすく、早く悪くなる傾向があります。
ですから分解には気を使い、インパクトで回して「あ、折れちゃった」と言うことは作業の時間をより延ばしてしまう原因にもなりかねません。
まあ、それでも折れる時は折れますが、できるだけの努力はしたいものです
でも既に・・・・
片方はボルトナットに変わっていたのですね。どうやら折ってしまったようです
もちろん、やむなく折れることはいくらでもありますが、このクルマは意外にあまり良い作業を受けていなかったのが、この後いろいろ見えてくるのは、この時には思っても見ませんでした。
ところで・・・・せめて何かもう少しマシな対処方法もあったのでは?
でもね。どうしてこういう結果になったのかは、あながちメカニックがやりたくてやったとは限らないんですよ。ここまでくるとユーザー本人が行ったのかも知れませんけどね
よく、予算を下げるあまり交換したくても出来ないケースはあります。また誰でも青空天井の予算があるわけでもないですし。すると、結局そのままにできず、やむを得ず車検を通すためだけに、そういった修理をする場合はあります。
でも、それって結局、このように白日の下に晒されてしまった時に笑われてしまいます。
僕は同業者に後ろ指指されるような整備はしたくない、無理な注文は受けない。
これは非常に重要なことです。
何をお高く留まっているんだ小河!とお叱りを受けそうですが、整備を甘く見てはいけません。
確かに整備費用を安くしたり、修理金額は抑えたいものです。でも安く押さえたいことと作業そのもののクオリティを下げるのは別次元のハナシです。クルマは人を乗せて走り、一度事故を起こすと大惨事になりかねません
相対的に多くの人が、自動車という実態のあるものにお金を払うが、車検や整備にお金を払いたくないというのは明らかで、ローン会社で、自動車は3.9%から7.9%とかの金利でローンを組めますが、車検整備をローンを組もうとすると、突然金利が上がり最低でも11.5%から15%と、ほとんどキャシングと変わりません。
これはなぜかと言うと担保が無い上に、払わなくなる人が圧倒的多く、商品が大変リスキーだからそうです。
僕らは工賃を頂き作業をします。それが生業です。
クルマ屋はクルマでお金を稼ぐ商売です。パンやお菓子を売って儲けを出す商売ではありません。ここはあまねく全ての人にご理解いただきたいところです。
今回のような作業をされるといつか、どこかで誰かが苦労する時がくるんですよ。
ここが地獄の一丁目だとはこのときは知る由もないのですけどね・・・・
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