料金のナゾに答えます2

今回は、不明瞭で、時には恐ろしい額になる全塗装の費用についてお答えします。

とはいえ、これは店舗により差がありますので僕の工場での話に限ります

全塗装と一口に言ってもいろいろあります。求める品質やレベルによっても変わります。
まずは以下をご確認ください

1.同色の全塗装で、３コート塗装を除く塗装膜
2.錆びは無い
3.塗装物はメルセデスのミディアム以下の大きさのセダン、クーペ
4.基本的に鈑金を要するへこみはない
5.塗装膜に瑕疵はほとんどない
6.オーナメントやモールなど消耗品は交換し、部品代は含まない
7.ドアミラーの塗装は含まないが前後バンパーの塗装は含む

以上の要件を満たした場合の基本的な費用は50-60万円くらいです。

これらに各要件に足す内容により、費用が変わります
1.同色ではなく色替えとなると大幅に費用は変わります。塗装範囲は多くなり、分解箇所も大幅に多くなります。各ドアは外し、アウターハンドルなど分解して塗装するので、時間もかなりかかります。費用は2-4倍以上になります。

また、3コートパールは塗料の消費量が大幅に変わるので費用が変わります。基本料金の約3割増しと思ってください
隠蔽力が低い色（赤とか黄）でも塗料の量は変わりますが、そう大きく変わりません

2.いわゆる旧車を塗装する場合、4と重複しますが確実に鈑金作業が発生します。基本的に平成５年より以前の欧州車の塗装には旧車と言うジャンルを適用せざるを得ないかもしれませんし、新しいクルマでも過去の扱い如何では費用が変わるかもしれません

3.塗装物は大きければ、塗料を浪費しますし、作業時間も増えます。とはいえよほど小さくない限り減額もしません

4.ほとんどの方が見落としがちな内容です。車種や内容によっては叩くより交換した方が安くつく場合があります。全部塗装するので、調色の必要がありませんから

5.極端な瑕疵塗膜、すなわち激しい日焼け、剥がれ、クラック、チェッキング、劣化塗膜全般ですが、サフェーサーを塗装する必要があるかどうかです。
いたずらキズがあればほとんど確率で、サフェーサーを塗装します。
また劣化した塗装膜、いい加減な補修を受けたOEM塗膜などは部品全面にサフェーサーを入れます。費用についてはパネル数の都度変わりますが基本料金が1.2～1.5倍にくらいなると思ってください

6.世に言うショートパーツは交換を強くお勧めします。新品やそれに準じた部品が手に入らない場合は、全塗装をする価値が半減すると言っても過言ではありません。またオーナメントなどは再利用はできません。部品はよほどの事が無い限り、こちらで用意します。

7.本体以外の塗装や分解ですが、ドアハンドルなど基本的な部品の脱着は含めますが、ドアミラーの塗装やアウターハンドル、モールなどの子部品の塗装は含めません。また可能な限り前後のガラスの脱着は行うべきです。
でも、欧州車の多くはガラスモール単体で販売されなかったり、フェラーリなどのイタリア製スポーツカーはガラスそのものが割らずに取り外す事が出来ないものもありますので、都度相談案件ですね

以上の事から、例えますとルノーメガーヌ、ワーゲンゴルフの同色全塗装は50-60万+部品代で可能となります。アルファロメオ156や166も同じですね。
ただ166の場合、ルーフのアンテナの脱着は別途費用が掛かりますが・・・・

でもまっしろに焼けて、一部に剥がれの出始めたアルファロメオ155はこの限りではありませんが、劣化した塗装膜の上から塗装できそうなのであれば、この費用+部品代となります。

ただ、ここで重要なのは、残念ながらお客さまに塗装条件の選択権は無いと言う事です。作業内容はこちらで決めます。
予算との相談は可能でも、作業内容や塗装条件を決めることはできません。

劣化した塗装膜にサフェーサーを塗装するか否かを、お客さまが決める事は出来ないと言うようなことですね。

無理な塗装は結果が伴いませんから、やらない方がましです。
そもそも引き受けません。
費用がいくらになるかは遠慮なくご相談ください。現車を見ないと即答はできませんが、思っているより費用は掛からないかもしれません。
逆に極上の仕上がりを求める方には費用は大変高額になります。

全ての部品をサフェーサーで塗装し、しっかり研いで塗装する塗装膜は強度も美しさも保障できますが、費用も内容によっては300万円以上かかる場合があります。
でも、普通に焼けてしまった塗装膜でも50-60万円で美しく仕上げる事も十分可能である事を忘れてもいけません。

あ、ここでの費用とは全て税抜きです。