オーロラの166、塗装編
輸入車を多く直している鈑金塗装工場の人は3コートが苦手です。
なぜなら輸入車に3コートはあまり無いからです。最近はメルセデスでも3コートパールもありますが、基本的にドイツのクルマはシルバーやブルーのパールなどオーセンティックなカラーがほとんどです。
日本車のように3コートパールのホワイトだらけな国は滅多にないです。日本独自の文化と言ってもいいと思います。
それでも今回のアルファロメオのようにヨーロッパの一部のメーカーで3コートパールを使っている場合があります。
以前にも書きましたが、3コートパールは材料も大量に使いますし、作業者の負担もかなりものです。
当然、有事の際の補修費用も普通のカラーよりぶっちぎりで高額になります。
だからあまり塗装技術者の立場からはお勧めしません。がやはり独特の魅力があるのも確かです。
そうでなくてもハードな3コートの塗装作業
しかも今回、なぜかそれまですごく涼しかったのに、塗装当日が暑くなるというオマケつき
かなりな着色パールです。
先に中側だけ塗っておきます。
テストピースに吹くとよくわかりますが、3コートパールの真ん中の色、パールコートには下地を染めるだけの隠蔽力に乏しく、塗り重ねるだけではうまく纏まりません。
このようにサフェーサーを塗装していますので、グランドコートと呼ばれる3コートの1コート目を塗装します。
これが1コート目のグランドカラー。判り辛いので次へ
これだと塗ったグランドカラーが判りやすいですね。
これをパール完了まで僕が担当します。
みればわかりますが左がグランドのソリッドカラー、右がパールカラー
これを一定の割合に混ぜて吹き付け、どんどんパールの量を増やし、最終的ほとんどパールになったもの塗る「にごり吹き」という方法を使います。
明らかに一定の場所から、色が違う分かれ目がありますね
リアフェンダーもバンパーとブロックになる場所があるのでグランドに近いにごりを吹きます
このようになります
徐々にパールの量を多くしていきます。
前よりわかりにくくなりましたがまだまだ分かります。それでもいいのです。塗り重ねていきます。
徐々にかわっていきます。
塗装範囲も少しづつ多きくぼかしていきます。
もう半分以上がパールになります
だいぶわからなくなってきました
この通り。ここまで色が染まったら2nのパールカラーを塗装します。
パールは大きくぼかします。フードはほとんど1枚塗装します。
パールの目もきれいに並びます
うわー、それっぽい~
ここまJet5000HVLP。途中まではJet4000HVLP
温度が高いので乾燥も早いです。
パールの目も荒れなかったので、美しい仕上がりが期待できそうです。
ちなみにここまで全部写っていませんが6回塗装しています。そのほかにもカラーレスクリアーを3回塗装していますから9回塗装している計算。手もパンパンになって肩がこります
クリアーは本職にバトンタッチ。
やっぱり本職にはかないません。僕よりはるかに「剛」なスプレーさばきで終了
午前から始めた塗装作業もずいぶん西日が差す頃に出来上がり。
美しい出来です
リアもいいですね。映り込みが魅力です
でも今回は商品化がメインなので、細かいところ追いかけていません。だから多少の飛び石やキズはそのままに塗装しています。
本気で仕上げるユーザーさんのクルマとは違います。
でもクリアーはエクスプレスプレミアムクリアーを使用しています。
また塗装強度の確保の為にパールコートには硬化剤を入れて塗装しています。
さて商品らしくなってきました。MPIならではの166にしたいと思います。
そしてキーボードをたたく右手もつらいのでした。あ~ しんど
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