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2019年9月26日 (木)

私、こう見えて、実は硬いんです。

一見、何でもないNboxに見えますが、実は前回りの事故修理で入庫しています

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こう見ればかなり判り易いですね。ボンネットがへの字になって曲がっています。
これ、クルマそのものは結構な勢いでぶつかっているのですが、そう見えないのは、最近の自動車が持つ
強力なスプリングバックという元に戻ろうとする金属の復元能力によるものなのです。

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ところで事故の程度の重い軽いは、速度もさることながらアクセルのON/OFFによってもかなり違ってきます。
最近のエンジンは低い回転域で最大のトルクを発生させるエンジンが多く、トルクが乗っている時に衝突した事故は、その金属が戻ろうとする力を部分的に粉砕して入力されます。

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ですからこの手の事故はユーザーの思惑と、修理する側の描く修理のファクターがかなり違うことが予想されます。

ラジエターやコンデンサーもかなりの移動量が見れます。

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外装を外すと穏便でない状態がわかってきます。

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修理内容としては、コアサポートの交換、フロントクロスメンバーの交換。左のフードレッジパネルの交換です。

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さて不要なものを外したら、さっそく調理に入ります。
必要に応じて予め軽く引き作業をしておきます。

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コアサポートパネルなど、溶接された部品の交換は部分的に切って外していきます。そうでないとスポット溶接部分をうまく削り取ることができません

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変形のエネルギーが強くかかっている部分は切っているそばから圧縮されたスプリングバックが解放されてエアソーに負担がかかります。
そんなときでも決して期待を裏切らないのはシナノのメカニカルソーです。

昔、エアソーと言えば高い上に歯が挟まると切れなくなり、しかも壊れやすいという、ろくでもないものが多かったのですが、このメカニカルソーは発売から10年以上が過ぎると思いますが、エアソーの最高傑作だと思います。

 
出たときは飛びついたのをよく覚えていますよ。今のものは2代目だか3代目だかです。

しかし時の流れはなかなか早く、その間、自動車用の超高張力鋼の性能は上がるばかり。
切断強度の競争のように、自動車メーカー各社がこぞって硬い鋼板を使用しました。

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このクルマも例に漏れず超硬です。

可能な限りスポット溶接の切除を減らすためによく考えて粗切りします。

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さてここからはとにかく硬いスポット溶接のナゲット(溶接跡=丸い)を専用のドリルで削って切り取るのです。
切粉も尋常でないほど出てきます。

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切除油はこれがベストです。

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あまりに硬いので、専用のドリル歯を使います。それでも4このスポット跡くらいしか切れません。
この歯もいろいろ発売されています

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ドリル歯を研ぐ機械も専用のものです。普段使っているローケンは第2世代ですが、これは確か第9世代
結構な値段ですが、これなしでは仕事になりせん。

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なにしろ、この従来品だと良くて1か所削れるか、母材にキズを付ける程度しかできません。

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タガネは変わりません。PBの定番品

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これは本当にタガネのスタンダードで、焼き入れ、硬度、使いやすさどれをとっても最高峰で、タガネの名作です。
記憶が正しければ、先に横刃が無いスロットタガネが発売されて、あとからこの両刃や少し曲がっているタイプが発売されたと思います。

苦労の末にすべてのスポット溶接を切り取りました

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以前、工場のとなりのキクチさんのお父さんが、野菜の苗を植えたり水をやるとくたびれて、腰が痛くて病院やマッサージに行っちゃうんだよ、と本末転倒な話をしてくれた時がありましたが、まさにその通りで、可能なら請求の項目にマッサージ代と形状したいくらい。

足も腕も腰も背中も、手のひらまで筋肉痛です。
こんな仕事を毎日行ったら体が壊れるか、ダイナマイトキッドみたいな体になるかのどちらかです。

MPIは一切、よその工場の下請け仕事はやりませんので、こんあ仕事は滅多にありませんが、ディーラーの下請けなどを多く行う工場は、何かマッサージチェアでも買わないと、やってられませんな。

次はフレームを溶接していきます。

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