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2019年6月29日 (土)

傷んだ塗装の補修

こちらも長いお付き合いになり始めた日産ラシーン。
ごく普通のご夫婦ですが、このクルマに愛着があって、以前の付き合いのあったディーラーを袖にして僕の所に来てくれているのですが
いかんせん、経年劣化の壁には勝てず、今回はボディ外観の相談で入庫と相成りました。

皆さん、最近もそのような内容で相談された入庫があったのですが、あくまで僕の主観として聞いてください。
保険会社の車両保険があたかも最上級の仕上がりを約束されたがごとく、何でもかんでも車両保険で行おうとする方をお見掛けいたしますが
確かに、事故の時など相当な額になるので、ありがたいのですが、最上級の仕上がりを提供されると思ってはいけません。
もちろん、その契約で定められた金額の中ではベストを尽くすのですが、その出来上がりの先にあるものは保険会社の描く出来上がりの物だと思います。
車両保険は基本的にそのような原状回復を謳っているわけで、仕上がりの質や本当に希望通りの仕上がりを求めるには無理があります。
ではどうすれば良いのでしょう? 

それは追い金を払う覚悟だと僕は思います。
自分が好きでその車に心底陶酔しているなら、自分の希望通りできないならオプショナルな修理スキームがあっても何らおかしくないと思います。
この話をすると急にトーンダウンする方が多いのですが、趣味のクルマにお乗りの方には珍しい事ではありません。決して奇特な方ではなく自費でグレードアップされる方は結構多くいらっしゃいます。

今回のラシーンも自費を理解できるそんなお客さんでもあります。

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今回は全塗装の、しかも色替えのご相談でしたが、スゴイ金額になるので現実的でない旨の話をしました。
このクルマあたりで基本的にかかる費用は70万円、そこにはガラスの脱着と部品代は含まれない、純粋な修理工賃だけお伝えいたしました。

特に色替えとなると作業も多岐にわたり時間も費用も掛かりますが、新車以上にしてお返しします。

とはいえ、予算が青空天井な方など殆どいらっしゃらいませんので今回は塗装の傷みの激しい前回りだけを作業することにしました。

しかしこのクルマ、何がすごいって塗装の為に取り外す艤装部品すべてが、(いや2つだけ廃止になったのがあったな、再使用ができるそれほど目立たない部品で)普通に日産に在庫があることです。モールからカバーから・・・

やはり国産車はいいなあ

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どれだけべろべろにムケてしまっていたか画像が無いのが残念ですが下の画像を見ていただければ分かりやすいです。クルマが天然痘になってしまったのではありません。ダブルアクションサンダーで追い続けるとこうなってしまったのです。

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金属素地も見えていますが、塗装の下から黒色が覗いているのがわかります。これはこの部品が新品に取り換えられたことを裏付けるもので、このパネルは新品の時に来る、黒い電着プライマーの上から直接塗装をしたようです。それゆえ、塗装膜強度がなく剥離を促進させた原因だと思います。
これには輸入車国産車関係なく起こります。

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こういうときに、このような複雑なプレスラインが作業しづらいのです。前に塗った人はそんなこと考えもせずにぱーっとやったのでしょうが、再補修する側は1本1本手で研磨しますから、相当な忍耐が要求されます。

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劣化した塗装膜は新しい塗装面と完全に遮断しなければならず、シール性に優れたプライマーサフェーサーを使わないといけません。
それにはうってつけの商品がこのEPプライマーサフェーサーです。エポキシ系プライマーサフェーサーで、縮れやすい劣化塗装膜を遮断できますので、塗装後しばらくしたらなんかヘンな跡が出てきたとか、剥がれたなんてことを未然に防げます。

こういった材料を自由にチョイスできることは塗装者にとっても、ユーザーにとっても大きなアドバンテージです。
普段から80%を心の中に作業せよとあるのは、どんなシチュエーションにも真正面から作業できるスキルや研究、工夫が必要だと思います。

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スプレーガンはサタのJet100B RPです。フードなど大きなパネルの下地塗装にはベストなガンです。

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ただ、このサフェーサーは硬化すると極端に硬いので、サンディングする方がまいってしまうので、上からクリアーを塗装します。

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そうすることにより、作業者は研ぎやすくなり作業性が向上し、また劣化した下地と完全に隔離できるので、長く塗装の正常な状態が保つことができます。

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なんか仕上げたみたい。でもそんなことはないのですねえ

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これを出して研ぐのです。でも、その前に同じく焼けて劣化した両フェンダーを別にサフェーサーを入れます。

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ここから先はまた今度

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